キーンコーンカーンコーン


「やっと昼休みだー」
「おい、購買急げ!今日から焼きそばコロッケパン数量限定販売だって」
「ゲッ、なんでだよ、ふざけんな購買部め」

お昼時間になり一気に教室内が騒がしくなった。

「明乃、お昼食べよう」

いつも通りクラスメイトで友だちの果歩がやって来た。

「あ、ごめん。今日はちょっと」
「え、何?食堂に行くの?」
「えーっと・・・其の」

果歩にどうやって説明しようかと考えていると

「遠峰さん」
「あ」

扉付近から声を掛けて来た刑部くんがいた。

「あれって・・・隣のクラスの刑部?」

果歩の言葉にドキッとした。

「果歩、知ってるの?刑部くんの事」
「知っているも何も───っていうか、なんで刑部が明乃を」
「・・・」
「──まさか」
「ごめん、また今度話すね」
「あっ」

私は何か云いたげな果歩を残して足早に刑部くんの元に駆け寄った。

「うっそ、遠峰さん、刑部と?!」
「いつの間に───ってかいつ林田と別れたんだよ」
「今度は何日で別れるか賭けようぜ」

教室を出るまでに何人かの興味本位な囁きを耳にしながらも、そういった事も既に慣れてしまっている私は気にせずにいた。



「今朝はごめんね、遠峰さん」
「ううん、気にしていないけど・・・大丈夫だった?」
「うん、担任の注意だけで済んだ」
「そっか」


実は昨夜、刑部くんからもらったメールに返信をしたらまたメールが届き、其れを返信したらまた届き───という様な事があって、最終的には朝、駅で待ち合わせして一緒に学校に行く約束をしてメール交換は終了した。

しかし待ち合わせ時間になっても刑部くんが来なくて困惑していた処に

【ごめん、寝坊した!ので先に学校に行ってください!あ、お昼は一緒に過ごそうね】

というメールが来たのだった。

「はぁ~俺とした事がとんだ失態!折角約束したのに」
「別に今日だけの事じゃないでしょう?明日一緒に行けばいいと思う」
「・・・遠峰さん」

(? どうしたんだろう)

私の言葉を受けて刑部くんがやけに照れた顔をしていた。

「嬉しいな・・・俺、本当に遠峰さんと付き合っているんだ」
「・・・そうだけど」
「朝、待ち合わせして一緒に学校行ったり、お昼はこうやって一緒にご飯食べたり出来るんだ」
「・・・うん」
「で、学校が終わったら一緒に帰って、あ、たまには寄り道したりして色んな事を話したり」
「・・・」
「休みには・・・デ、デート・・・したり」
「刑部くん?」

先刻から何を云っているのだろうと箸をつけているお弁当箱から視線を上げると

「えっ」
「う゛・・・うぅっ」
「ちょ、刑部くん?!」

何故か刑部くんが泣いていた。

「ご、ごめ・・・っ、みっともなくて」
「其れはいいけれど・・・なんで泣いているの」
「だって・・・だって俺・・・本当に嬉しくて・・・」
「え」
「嬉し過ぎて昨日全然眠れなくて・・・気が付いたら寝落ちしていて待ち合わせ時間に起きたりしちゃって」

(其れで寝坊したって訳?)

「俺、ずっと、ずっとずっと好きだったんだ、遠峰さんの事。入学する前から好きで・・・でも遠峰さんは手の届かない存在で」
「何を云って・・・」

いるのか解らなかった。

どうして刑部くんが私と付き合うという事だけで泣いているのか。

(・・・ん?先刻変な事云わなかった?)


『入学する前から好きで』


(其れってどういう意味なのかしら)


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