最初の時は何をされているのか解らなかった。
ただ明乃にはずっと元気でいて欲しいからと云われ、あぁそうなんだと思った。
其れに好きな人から受ける事だったからなんの疑いもなく、云われるがまま私はずっと其れを受け入れて来たのだった───
「と、遠峰さん!」
「はい」
「~~っ、す・・・すすすす好きです!付き合ってください!」
「・・・」
下校時、校門を出て少し歩いた先で声を掛けられた。
彼の声の大きさに周りにいた数人が何事かと足を止めたり、ニヤニヤしながら通り過ぎて行くのを何となく見つめながらぼんやりとしてしまっていた。
「・・・・・・ダメ・・・ですか?」
「あの・・・私はあなたの事を知りません」
「あ、そ、そっか!あの、俺は隣のクラスの刑部 達己(オサカベ タツキ)です。其の・・・ずっと遠峰さんの事がい、い・・・いいなって思っていて」
「・・・」
「厭らしい話、遠峰さんが彼氏と別れたって訊いて・・・其の、もうチャンスを逃したくないって思って・・・其の」
「いいですよ」
「わぁぁぁぁ、やっぱり!ダメですよね!遠峰さんみたいな可愛い子が俺みたいななんの取り柄もない冴えない男に──── ・・・・・・って、え?」
「お付き合い、しましょう」
「・・・」
「刑部くん?」
「・・・・・・ほ、ほ、ほ」
「ほほほ?」
「っ、本当に?!」
「はい」
「本当の本当に?!俺で・・・俺みたいなので、いいの?!」
「いいですよ」
「は・・・はは・・・っ、痛っ!」
「どうしてほっぺを抓っているの?」
「い、いや、其の・・・夢じゃないかって・・・でも痛いから夢じゃない!」
「・・・」
(変な人)
この人は何をそんなに浮かれているのだろう。
たかが付き合うってだけの事に先刻からコロコロと表情を変えている。
(私なんかと付き合うってだけでどうして此処まで)
───どうせあなただって直ぐに私に厭気がさして別れてしまうんだから
目の前で歓喜の声を上げている彼を冷めた眼差しで見つめる。
私の見た目だけで好きと云って告白して来る男は数知れず。
最初こそいちいち真に受けて胸をときめかせたものだったけれど、数をこなしていく内に茶番の様な恋愛ごっこにのめり込めなくなっていた。
(好きだと云っても其れは本心からの言葉じゃない)
もう解り切っているパターンだ。
だから私も割り切っている。
大して好きでもない男と付き合って、セックスするぐらいどうって事はないのだと。
前に付き合っていた彼と昨日別れた。
其の絶妙なタイミングで告白をして来たから付き合うに過ぎない。
いわゆる先着順───というやつだ。
(今、私には彼氏がいない。だから付き合うってだけの話なんだから)
「其れじゃあ・・・あの、早速だけど・・・お茶でも飲みに行かない?」
「お茶?」
「うん。其の・・・もっとお互いの事を知るために話がしたいなと思って」
「・・・」
(こういう誘い方は初めてかも)
随分遠回しな誘い方をするなと思ったけれど、結局目的はひとつなのだろう。
「どうかな、遠峰さん」
「えぇ、行きましょう」
「っ、やったぁ!」
「・・・」
(所詮あなたも今までの男と同じ)
大したときめきも期待もないまま、私たちは最寄り駅までの道を歩き出した。
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其れに好きな人から受ける事だったからなんの疑いもなく、云われるがまま私はずっと其れを受け入れて来たのだった───
「と、遠峰さん!」
「はい」
「~~っ、す・・・すすすす好きです!付き合ってください!」
「・・・」
下校時、校門を出て少し歩いた先で声を掛けられた。
彼の声の大きさに周りにいた数人が何事かと足を止めたり、ニヤニヤしながら通り過ぎて行くのを何となく見つめながらぼんやりとしてしまっていた。
「・・・・・・ダメ・・・ですか?」
「あの・・・私はあなたの事を知りません」
「あ、そ、そっか!あの、俺は隣のクラスの刑部 達己(オサカベ タツキ)です。其の・・・ずっと遠峰さんの事がい、い・・・いいなって思っていて」
「・・・」
「厭らしい話、遠峰さんが彼氏と別れたって訊いて・・・其の、もうチャンスを逃したくないって思って・・・其の」
「いいですよ」
「わぁぁぁぁ、やっぱり!ダメですよね!遠峰さんみたいな可愛い子が俺みたいななんの取り柄もない冴えない男に──── ・・・・・・って、え?」
「お付き合い、しましょう」
「・・・」
「刑部くん?」
「・・・・・・ほ、ほ、ほ」
「ほほほ?」
「っ、本当に?!」
「はい」
「本当の本当に?!俺で・・・俺みたいなので、いいの?!」
「いいですよ」
「は・・・はは・・・っ、痛っ!」
「どうしてほっぺを抓っているの?」
「い、いや、其の・・・夢じゃないかって・・・でも痛いから夢じゃない!」
「・・・」
(変な人)
この人は何をそんなに浮かれているのだろう。
たかが付き合うってだけの事に先刻からコロコロと表情を変えている。
(私なんかと付き合うってだけでどうして此処まで)
───どうせあなただって直ぐに私に厭気がさして別れてしまうんだから
目の前で歓喜の声を上げている彼を冷めた眼差しで見つめる。
私の見た目だけで好きと云って告白して来る男は数知れず。
最初こそいちいち真に受けて胸をときめかせたものだったけれど、数をこなしていく内に茶番の様な恋愛ごっこにのめり込めなくなっていた。
(好きだと云っても其れは本心からの言葉じゃない)
もう解り切っているパターンだ。
だから私も割り切っている。
大して好きでもない男と付き合って、セックスするぐらいどうって事はないのだと。
前に付き合っていた彼と昨日別れた。
其の絶妙なタイミングで告白をして来たから付き合うに過ぎない。
いわゆる先着順───というやつだ。
(今、私には彼氏がいない。だから付き合うってだけの話なんだから)
「其れじゃあ・・・あの、早速だけど・・・お茶でも飲みに行かない?」
「お茶?」
「うん。其の・・・もっとお互いの事を知るために話がしたいなと思って」
「・・・」
(こういう誘い方は初めてかも)
随分遠回しな誘い方をするなと思ったけれど、結局目的はひとつなのだろう。
「どうかな、遠峰さん」
「えぇ、行きましょう」
「っ、やったぁ!」
「・・・」
(所詮あなたも今までの男と同じ)
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